異常気象に大災害。加えてTPPで激震が走る日本農業界。その中で創業から9年で、年商110億円を売り上げ、成長を遂げているのが、「ナチュラルアート」です。銀行マンから農業界へ転身し、様々な変革に挑戦する鈴木誠氏の根底には、「農業を夢のある業界にしたい!」という一途な思いがあった。(致知2月号より)
ある農業グループから、「いま閉塞した状況を打破したいから手伝ってほしい。」と誘いを受け、「日本ブランド農業事業協同組合」を設立して初代会長になりました。その実行部隊になりたいと思い「ナチュラルアート」を起こしたのです。同業者の中に「まずは黙って先輩の真似をしろ」といわれ「なんで真似しなきゃならないの?お宅は赤字でしょ」と。「過去を踏襲するのが農業です。」「4つの戦略戦術」を考えた。
1.農家はつくることはものすごく上手だが、売ることが下手である。
2.成長するには資金調達が大事。
資金調達力が他業種と比べて農家は非常に弱い。
3.農家の親方が必ずしも社長である必要はない。
レストランのコックさんがすべて社長ですか?
マネジメントはできる人がやればいい。
4.問われるのは「行動力・実践力」です。
農業に経営の概念を持ち込む。
何十年も前からみんな言ってきたわけです。
でも、できていないのが現実です。
農業界は改革したほうがいいという意見には、99%の人が賛成すると思う。しかし、実際TPPのような改革案が出てくると、「絶対反対!」と手を携えて反対する。だから、我われは新しいことに挑戦して、とにかく行動を起こしていく。そういう集団でありたいと思っているのです。
実際に経営が軌道に乗るまで、最初は仲のよい農家のおじさんに「ここを使ってもいいよ」と言われた畑を借りて、自分たちで、大根やにんじんを作り始めた。それがスタートです。どうやって売るか。売ることが大事だと分かっていても、スーパーに持ち込んだって買ってくれません。ならば自分で店を出そうと思ったそうです。しかし店の運営で自分だけでは品揃えが足りません。農業仲間から仕入を始めたそうです。そうやって「全国の方々」とのネットワークができたのです。
「ナチュラルアートと一緒にやりたい」と言ってくださる方々が増えて、いま千数百戸の農業法人の組織になりました。単純な話、一つの農家が「うちのトマトを買ってください。」とスーパーに行っても「うちは年間通して安定的に、しかも大量に欲しいんだ」と。勝負にならないのです。
でも、千軒の農家が束になったら話は違ってくるのです。今、日本の農家に求められているのは、「合従連衡」であり、それでなければ、日本の農業界は変革できないのです。
農家の世界は99%が一人親方制です。上下関係ができるのをものすごく嫌がるんです。「俺はあいつの下じゃやらねぇって。」だから、ある意味僕がよかったのは農家じゃなかったから。土俵が違うから「鈴木となら組んでもいいよ!!」と。
農業には一生に一度あるかないかの逆風は毎年起きています。TPPもあるし、異常気象も続くでしょう。一人ぽつんと取り残されたら、その人は生きていけないと思います。だから、日本の農業界の大連立が必要なのです。日本の若者が農業に興味がないなんていうのは300%ウソです。農業をやりたいという若者がたくさんいます。今、社員は240名いらっしゃるそうです。
家族でやっている農家では、給料が払えない。大卒の若者に対して初任給が払えるレベルになれば、日本の農業はもっと活性化します。「福沢心訓」の言葉の中に、「世の中で一番楽しく立派な事は、一生涯貫く仕事を持つと言う事です」。農業界を改革して、農業を憧れの仕事にする。その一心で人生をまっとうしたいと頑張っておられます。

