年末商戦で、「腹巻き、石油ストーブ、売れ行き倍増」、高島屋では女性の冷え対策などに「毛糸のパンツ」が売れています。西武池袋店ではカラフルな「男性用腹巻き」がヒット商品になっています。故きを温ねる時代の節電商品も盛り上がっています。
古い時代や過去のことは、これからの時代には合わない(?)、いろいろな考え方がありますが、そんなことはありません!本当は意味が深いのです。
今こそ故きを温ねると、まだまだ成功するヒントはたくさん隠されています。現在昔ながらの営業形態で奮闘している企業もあるのです。江戸時代からの「行商」、店舗を持たずの訪問販売です。
東京築地本店の屋号は「ゆば・豆腐築地野口屋」(平成15年起業)のお話です。
企業理念は「一子相伝の技をもって本物を伝えていく」です。そして、「たべるもの」は命をつなぐ薬だから、一人でも多くの人の健康や幸せに貢献できる商売を目指す、という考え方を根底に、①食育、②リサイクル、③高齢化社会、④防犯・防災、⑤ニート・フリーター、という5つのキーワードで表しています。
この中で、とりわけ「リサイクル」では、ガソリンを一滴も使わない「リヤカー」で行商を行っています。
「高齢化社会」では、リヤカーによる「コミュニケーション販売」で、孤食で話し相手がいないお年寄りと会話を楽しむ、という社会貢献を行っています。お年寄りにとっては、豆腐より、話し相手のほうが価値が高い(?)ようですが・・・。中には、わざわざアパートの二階まで駆け上がり、お年寄りの話を聞いてあげる若者もいます。
「ニート・フリーター」では、若年層の失業対策として積極的に採用し、雇用努力を重ねています。とくに、若者に「引き売り」(リヤカー販売)の楽しさを知ってもらいながら、お年寄りとのコミュニケーションを通じて、社会参加を図っています。
一方、何といっても商品へのこだわりは強く、野口屋の豆腐は、正源寺に伝わる門外不出の製法で作られています。水は静岡県伊豆大川の天然水を使用、大豆は、佐賀、三重県産のフクユタカをベースに北海道産の大豆をブレンド、にがりは兵庫県の赤穂のものを使用しています。
また、コミュニケーションの補助ツールとして、毎月、「野口屋新聞」を発行して、毎回、商品と共にお届け、お年寄りの楽しみにもなっています。内容は、野口屋の活動状況や新商品の紹介、クロスワード・パズル、お客様だよりコーナー等々です。
「これからのビジネスのあり方を表していると思いませんか。」オンリーワン商品である「正源寺のこだわり豆腐や湯葉」にプラスして、オンリーワンサービスである「若者とお年寄りの触れ合い」、まさしく温故知新のビジネス復活・進化です。「ぱーぷー」「ぱーぷー」「ぱーぷー」・・・。なんと、野口屋のラッパ(1個400円)まで販売しているのです。
業種業態や地域に関係なく「発想の転換の仕方」「考え方・やり方」です。何か参考になればと思うのです。
(理念と経営 2011.11月号より)

